東郷元帥記念公園前のビルの半地下にあったソフトバンク出版事業部は、入り口付近に出版営業部や総務部などがあり、編集者はその脇を通って各編集部に出勤していた。
一番手前には、『Beep』『Oh! HiTBiT』『Oh! PASOPIA』の編集部があった。
各編集部の間には低いパネルがあり、それを挟んでそれぞれのデスクが向かい合わせにあった。そういうレイアウトだったので互いの話し声は聞こえるし、出入りも自由にできた。
私は『Oh! HiTBiT』に編集部に配属された。編集者は私を含めて2名だった。『Oh! PASOPIA』の編集部は、編集長兼編集者1名である。
私のデスクは『Beep』編集部のすぐ傍だったので、用もないのによく出入りをしていた。編集者たちと話したあと、出入り口付近に積まれた『Beep』創刊準備号や最新刊など勝手に持ち出して読んでいた。
社会人になった1970年代後半登場した『ブロックくずし』は、サラリーマンの間で大人気となり、どこの街の喫茶店にもテーブル筐体が置いてあった。
『スペースインベーダー』も同様で、昼休みの時間になると食事もそこそこにゲームをプレイするサラリーマンが多かった。
その後『サーカス』『バルーンボンバー』などアーケードゲームにのめり込んでいたので、新宿の渋谷にあったシグマやタイトーのゲームセンターにはよく通っていた。
いとこが買った任天堂のカラーテレビゲーム6もプレイしていたので、『Beep』を読むと流行っているゲームの情報がただで手に入るのがありがたかった。
『Beep』編集部には、『Beep』のほかにBeepポケットシリーズの『マイティボンジャック』や『SG ファンタジーゾーン/北斗の拳/極悪同盟ダンプ松本』もやがて加わり、こうした攻略本も勝手に持ち出して読んでいた。
そういえば、『マイティボンジャック』を販売していたテクモは会社の近くにあった。